第1問(民法・遺留分)

問:相続人Cが遺留分侵害額請求権を行使するためには、相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年以内、または相続開始の時から10年以内に行使しなければならない。

答:○

解説:民法1048条本文。遺留分侵害額請求権は、相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。同条ただし書は、相続開始の時から10年を経過したときも同様とする旨を定める(除斥期間と解されている)。なお、令和元年7月施行の改正により、遺留分減殺請求権は遺留分侵害額請求権という金銭債権に一本化された(民法1046条1項)。

第2問(不動産登記法・相続人申告登記)

問:相続人申告登記の申出をした相続人は、その後に遺産分割協議が成立して不動産の所有権を取得した場合、当該分割の日から3年以内に所有権の移転の登記を申請しなければならない。

答:○

解説:不動産登記法76条の3第4項。相続人申告登記の申出をした者であっても、遺産分割により所有権を取得した場合は、改めて所有権移転登記の申請義務(分割の日から3年以内)を負う。相続人申告登記は暫定的な義務履行であり、分割確定後の終局登記までは義務が完結しない点に注意する。なお、相続登記の義務は令和6年4月1日施行で、経過措置により従前の相続も令和9年3月31日まで猶予されている(同法附則による経過措置)。

第3問(商業登記法・取締役重任)

問:株式会社の取締役が任期満了により再任された場合(重任)であっても、当該登記の申請書には、取締役を選任した株主総会の議事録を添付しなければならない。

答:○

解説:商業登記法46条2項。取締役の選任は株主総会の専決事項であり(会社法329条1項)、重任の場合も改めて株主総会の選任決議が必要となるため、議事録の添付は省略できない。同一人物が連続して取締役の地位にあるとしても、任期満了による退任と新たな選任が一体として行われている扱いとなる。

第4問(民事訴訟法・訴え提起前の和解)

問:訴え提起前の和解(即決和解)の申立ては、相手方の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所にすることとされ、和解が成立した調書の記載は、確定判決と同一の効力を有する。

答:○

解説:民事訴訟法275条1項により、訴え提起前の和解の申立ては、相手方の普通裁判籍の所在地の簡易裁判所に対してする。和解調書の記載は、民事訴訟法267条により確定判決と同一の効力を有する(執行力・既判力)。建物明渡しや土地賃貸借の終了確認など、当事者間で実質的に争いがない場合に強制執行可能な債務名義を作る手段として実務でしばしば用いられる。

第5問(民事執行法・第三債務者の供託)

問:金銭債権の差押えを受けた第三債務者は、当該金銭債権の全額に相当する金銭を供託することができ、供託をしたときは、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。

答:○

解説:民事執行法156条1項(権利供託)が、第三債務者の判断による全額供託を認めている。同条3項により、供託をした第三債務者は、その事情を執行裁判所に届け出なければならない(事情届)。なお、複数の差押えが競合する場合や差押額が被差押債権額を超えるような場合は、第三債務者は供託義務を負う(同条2項・義務供託)。

出題分野の振り分け

分野 主な根拠条文
第1問 民法(遺留分) 民法1046条・1048条
第2問 不動産登記法(相続人申告登記) 不動産登記法76条の3第4項
第3問 商業登記法・会社法 商業登記法46条2項、会社法329条1項
第4問 民事訴訟法(訴え提起前の和解) 民事訴訟法275条1項、267条
第5問 民事執行法(差押えと供託) 民事執行法156条1項・2項・3項