第1問(不動産登記法・表示)— 分筆登記
問: 土地の分筆登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(ア)一筆の土地の一部の地目が他の地目に変わったときは、登記官は職権で分筆の登記をしなければならない。 (イ)分筆登記の申請は、当該土地の表題部所有者または所有権の登記名義人が単独ですることができる。 (ウ)所有権の登記がある一筆の土地を分筆する場合、分筆後の各土地について新たに所有権の保存登記を申請しなければならない。 (エ)分筆と同時に、分筆前の土地の地積に錯誤があるとして地積の更正の登記を申請することができる。
答: (ウ)
解説:
- ア:正しい。不動産登記法39条3項:「登記官は、第1項の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない」。
- イ:正しい。不動産登記法39条1項は「分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない」と定めており、これらの者の単独申請による。
- ウ:誤り。分筆後の各土地には従前の所有権の登記が当然に引き継がれるため、改めて所有権保存登記をする必要はない。これが分筆登記による物的編成変更の中核効果である。
- エ:正しい。分筆登記と地積更正登記は同一申請情報で同時に申請することが認められている(先例・登記研究多数)。
第2問(土地家屋調査士法)— 業務範囲
問: 土地家屋調査士の業務に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(ア)土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記について必要な土地または建物に関する調査および測量を業として行う。 (イ)法務大臣の認定を受けた土地家屋調査士(特定認定土地家屋調査士)は、筆界特定の手続について代理することができる。 (ウ)法務大臣の認定を受けた土地家屋調査士は、土地の境界が明らかでないことを原因とする民事に関する紛争について、民間紛争解決手続を代理することができる。 (エ)土地家屋調査士は、その業務に関して取り扱った事件につき知り得た秘密について、業務終了後も他に漏らしてはならない。
答: (イ)
解説:
- ア:正しい。土地家屋調査士法3条1項所定の業務。
- イ:誤り。筆界特定の手続代理は、認定の有無にかかわらず、土地家屋調査士の業務として認められている(土地家屋調査士法3条1項)。これに対し、認定が必要なのは「土地の境界に関する民間紛争解決手続(ADR)における代理」(同条2項)である。両者を入れ替える引っかけ。
- ウ:正しい。同条1項および2項により、境界ADRの代理は法務大臣の認定を受けた者に限られる。
- エ:正しい。土地家屋調査士法24条の2(守秘義務):正当な事由がある場合でなければ、その業務上取り扱った事件について知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない。「土地家屋調査士であった者」も対象に含まれ、業務終了後も守秘義務が継続する。
第3問(民法・筆界)— 相隣関係と筆界の不可動性
問: 相隣関係および筆界に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(ア)土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。 (イ)境界標の設置および保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。 (ウ)測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する。 (エ)相隣者間の合意により、不動産登記法上の筆界の位置を変更することができる。
答: (エ)
解説:
- ア:正しい。民法223条。
- イ:正しい。民法224条本文。
- ウ:正しい。民法224条ただし書。
- エ:誤り。最高裁判例の趣旨により、筆界(公法上の境界)は地番と地番との境として行政上一義的に定まるものであり、当事者の合意によって変動させることはできないと解されている。当事者の合意で動かせるのは私法上の所有権界(私的境界)にとどまり、これと筆界とは概念上区別される。筆界の確定方法としては、訴訟(境界確定訴訟・筆界確定訴訟)と筆界特定制度(不動産登記法第6章第2節)がある。
第4問(測量計算)— 座標法
問: 次の4点を頂点とする土地の面積を座標法により求めた値として、最も近いものはどれか(座標値の単位はメートル)。
| 点 | X座標 | Y座標 |
|---|---|---|
| A | 0.00 | 0.00 |
| B | 30.00 | 0.00 |
| C | 30.00 | 20.00 |
| D | 0.00 | 20.00 |
(ア)300.00 m² (イ)500.00 m² (ウ)600.00 m² (エ)1200.00 m²
答: (ウ)
解説:
座標法(座標求積法)の公式:
$$ S = \frac{1}{2} \left| \sum_{i=1}^{n} X_i , (Y_{i+1} - Y_{i-1}) \right| $$
ここで、添字は循環するものとする(ABCDの順、最後の点の次は最初の点)。
各点ごとに $X_i (Y_{i+1} - Y_{i-1})$ を計算する:
- A:$X_A (Y_B - Y_D) = 0.00 \times (0.00 - 20.00) = 0$
- B:$X_B (Y_C - Y_A) = 30.00 \times (20.00 - 0.00) = 600.00$
- C:$X_C (Y_D - Y_B) = 30.00 \times (20.00 - 0.00) = 600.00$
- D:$X_D (Y_A - Y_C) = 0.00 \times (0.00 - 20.00) = 0$
合計:$0 + 600.00 + 600.00 + 0 = 1200.00$
よって面積:$S = \dfrac{1}{2} \times |1200.00| = 600.00$ m²
これは長方形(縦20m × 横30m)の面積と一致しており、検算が成立する。座標法は、点を結ぶ順序(時計回りか反時計回りか)によって符号が反転するが、絶対値を取るため面積の大きさは一致する。
第5問(書式・地積測量図)— 記載事項
問: 地積測量図の記載事項に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(ア)地積測量図には、地番区域の名称、方位、縮尺、地番および隣接地の地番を記載しなければならない。 (イ)地積測量図には、地積およびその求積方法を記載しなければならない。 (ウ)地積測量図には、申請人の氏名または名称を記載しなければならない。 (エ)地積測量図には、平面直角座標系の番号または記号および基本三角点等に基づく筆界点の座標値を記載するのを原則とする。
答: (ウ)
解説:
- 不動産登記規則77条1項は、地積測量図の記載事項を以下のとおり定めている:
- 地番区域の名称
- 方位
- 縮尺
- 地番(隣接地の地番を含む)
- 地積およびその求積方法
- 筆界点間の距離
- 国土調査法施行令所定の平面直角座標系の番号または記号
- 基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値
- 境界標があるときは、当該境界標の表示
- 測量の年月日
- ア・イ・エ:いずれも上記列挙に含まれており、正しい。
- ウ:誤り。地積測量図には申請人の氏名・名称を記載する規定はない。図面の作成者である土地家屋調査士の氏名等は記載するが(不動産登記規則74条参照)、申請人氏名は記載事項ではない点が引っかけ。
- 縮尺は原則250分の1(不動産登記規則77条4項本文)。土地の状況その他の事情によりこれによることが適当でないときは別の縮尺を採用できる(同項ただし書)。
出題分野
| 問 | 科目 | 中心論点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示) | 分筆登記の効果(不登法39条1項・3項、所有権の引継ぎ) |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 筆界特定代理と境界ADR代理の区別(調査士法3条1項・2項) |
| 第3問 | 民法・筆界 | 境界標の費用負担と筆界の不可動性(民法223〜224条、最高裁判例の趣旨) |
| 第4問 | 測量計算 | 座標法による面積計算 |
| 第5問 | 書式 | 地積測量図の記載事項(不登規則77条) |